冷徹社長の秘密〜彼が社長を脱いだなら〜
本当に申し訳ないけれど、自分で無理をして、後ろの人に迷惑をかけるわけにもいかず、甘えて社長に、次々とお皿に取ってもらっている。


でも、「これ、美味そう」と言って、ワクワクした少年のように楽しみながらお皿に入れてくれる社長の姿が、可愛い。



「何の行列ですかね?」



たくさんお皿の上に乗せてもらった料理。どれも美味しそう。順番に進んでいると少し前に行列が出来ている。



「あれは、オムレツを作ってくれるんだ。チーズとかハムとか好きな具材を入れてくれてその場で焼いてくれる。どうする?って聞かなくてもすぐわかるな、みぃは」


「で、でも行列ですよ。あまり並んだりとかはされないんじゃないですか?」


「でも、みぃが食べたいなら並ぶに決まっているだろ」


社長なのに、私のために行列に並んでくれる。しかも自分が食べるわけでもないのに。お皿が一つなのがその証拠。きっと、私だけ食べることになる。


それでも、無理して食べて気分が悪くなるよりはいい。一人で食べるのは寂しいけれど仕方ない。

「すみません、オムレツを二つお願いしてもいいですか?みぃは、何入れる?俺は、チーズとハムで」


「チーズとハムですね。お連れ様は、何になさいますか?」


「あっ、えっ、あっ、同じものをお願いします」
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