冷徹社長の秘密〜彼が社長を脱いだなら〜
「みぃ、まさかその使えない手でここの料理を自分で食べられるとでも思っているのか?無理はしないほうがいいし、とても心配なんだけどな。それに、自分で人には無理をするなと言ったのに、まさか自分は無理をするのか?」



やられた。まさか、同じセリフをそっくりそのまま返されるとは。


当然、社長はしてやったりの顔。確かにパンはともかく、オムレツは左手で食べるのは、自信ない。


しかも、こんな高級感漂う店内で、たとえ不自由で利き手が使えないとはいえ、ポロポロと落としながら食べるなんて失礼すぎる。


でも、オムレツもソーセージもサラダも食べたい。仮に食べない選択肢を選んで残すのも、摂食障害の社長に食べてもらうのもどちらもありえない。としたら私が選ぶ選択肢はこれしかない。


「みぃはお利口だな。わかった?ほらはい、あーん」


「うー恥ずかしい。で、でも、よろしくお願いします。あーん」
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