冷徹社長の秘密〜彼が社長を脱いだなら〜
「どうして、私のこと好きになってくださったんですか?」


好きだと言ってもらえたから十分なんて思った数分前の私はどこに行った?考えてることと言葉がちぐはぐすぎて自分でも驚く。


でも確かに不思議。チャームのことは運命だと思うけれど、それだけで私を好きになってくれたの?ガバッと両肩を掴んで体を離した社長は、ニカッと珍しく白い歯を見せて笑った。


「じゃあ今日は、呆れるくらいお前のことを好きな理由を伝えてやる。お前が嫌だって言うくらいな。だからまずは、深月から名前を呼んで俺にキスをすること!」


「・・・え?え?り、諒、さん」


「ダメだ。呼び捨てにしろ。あいつは『リョウ』だっただろ?だから俺も呼び捨てだ」


まだ涼のことを気にするくらい、私を好きだと自惚れてもいいのだろうか。クスッと笑みが零れた。


なんだか本当にすごく嬉しくて愛おしい。そんな気持ちを込めて「諒」と呼んで私からキスをした。
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