もしも、もしも、ね。


「暁里。」

「何ー?って、うわッ!!」

「・・・なんだよ、そのリアクション。」



さすがの俺でも傷付くぞ。

そう言って深く息を吐き出したのはユウ。

あまりに浮かれていた私は、声を掛けられてもそれがユウだと判断出来なかった。

ノリで振り返ってそこに居たのが彼でびっくり。

こんなリアクションになったのはそんな理由。



「助かった。」

「別にユウをかばったわけじゃないけどね。」

「でも助かった。」

「うん。」

「・・・・・・ありがとう。」

「どーいたしまして。」



普通に返事をすると、ユウは目を見開いて数回大きな瞬きをした。



「何?」



そう聞くけれど返事はなくて。

代わりにユウは大きく息を吸って、吐いて・・・望果を見た。



「望果ちゃん。」

「んー?何?」

「暁里、借りてっていい?」

「一時間10円。」

「安!!」



親指と人差し指で上向きに○を作りながらウインクした望果の言葉に私は反射で突っ込む。

彼女は至極楽しそうに笑って、いってらっしゃいと手を振った。

私は「行ってきます」と笑い、ロッカーから下りて上履きを履き、ユウの後を付いていく。

振り返ると、望果や准君が手を振ってくれた。

(って、あれ?なんで私ユウに借りられるのに違和感なかったんだ?)


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