もしも、もしも、ね。

「買い出しのこと?」

「・・・悪かったな、確かに質の方が大事だよ。」



さっきのピンク事件で懲りたのだろうか。

けれど、苦笑しながらそんな風に妥協するユウに違和感を感じる私は・・・変?



「別に時間だって大切だと思うよ。

みぃとユウが一緒に買い物行ってさっさと帰ってきてくれたからこそあの後早く装飾準備進んだんだし。」

「いいよ、フォローしてくれなくたって。」

「ホントにそう思ってんの。」



心外だ、と私は眉をひそめた。

ユウは小さく息を付いたけど、「暁里ってそういうヤツだよな。」と笑った。

「どういうヤツよ。」と私も笑った。



「―――私、喧嘩なんて初めてしたの。」



しばらく間を置いて、私は呟いた。

ユウが顔を上げた。



「自分にも、他人にも、食べ物も、洋服も、芸能人も、すべてに興味がなくって。

でも適当に人間生活が営める程度の知識とスタイルを維持してきた。」



私の初戦、言い換えれば初陣。

喧嘩なんて私には今までなかったことだから、

こんな言い方おかしいのかも知れないけれど一大イベントだった。

初めて戦に挑む、戦士の気分。



「だから、どうしていいかわかんなかった。

行動だけじゃなくって、感情もよくわかんなくって。

・・・たぶん、初めて“キレた”。」

「俺のせい?」

「もちろん。」



どうせならもっとマシな感情が良かったな。

そう言う頭を掻いてユウに思わず笑った。


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