もしも、もしも、ね。


「―――ほら、暁里。」



急に見つめていた足先が止まった。

私も慌てて止まると、上から降ってくる声。

顔を上げて、私はあたりを見回した。



「ゴミ捨て場・・・?」



旧校舎裏のごみ捨て場。

ここもやっぱり人通りなんて、ない。



「ユウ、何考えてんの?」



意味が分からない。

私が眉を潜めると、ユウはしばらく私の顔を見つめた。

何かを責めるような瞳に、少しだけ恐怖する。



「はぁ、仕方ねぇか。」

「何がよ。」



さっきからのユウ、ちんぷんかんぷん。

さーっぱり理解が出来ない。

ユウはすっと私から手を離すと、「ここで待ってろ」と言い残して、どこかに行ってしまった。



「何なの・・・?」



取り残された私は呆然。

ただ、掴まれていた手首の熱を、もう一度自分で触りなおした。

そうそう、そういえばユウは手が冷たいけど手汗かきやすいのよ。

でも陸斗は、手が暖かくて、手汗なんて全然かかない。

意外と中身以外は正反対なのかも。

私はクスクス笑いながら段差を降りた。


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