もしも、もしも、ね。
「さーて、泣き止んだ?」
ボンボンと私の目をハンカチの上から叩いて、彼女はにっと笑った。
うん、と頷くと、
一緒に大きく頷いてくれる。
「じゃ、本題考えないとね。」
「・・・本題?」
「裕哉君のことも、陸斗とかいうサイテーな男のことも、今のままじゃいけないっしょ?」
そう言って望果はばっちりとウインク。
そんなこと言われると思っていなかった私がぱちくりと望果を見つめていると、
「今のはちょっとノリ過ぎた。」と彼女は照れたように頭を掻いた。
まったく望果ったら。
思わずクスクスと笑うと、望果は「そっちのがいいよ!」と同じようににっこり笑った。
「暁里は、笑顔の方がぜーったい可愛いから!」
「・・・いや、望果に言われても。」
「ホントホント。
特に最近の暁里はよく笑うようになって雰囲気も柔らかくなったって大好評だよ。」
何の話?
思わず眉を潜めると、「笑顔がいいって言ったばっかでしょ!!」と眉間をチョップされた。
・・・ちょっと素で痛かったぞ。(遠慮なかったな、コイツ)
ズキズキするおでこを擦りながら望果を睨むと、
彼女も痛かったらしく右手のぶったところを左手で撫でていた。
まぁ頭蓋骨と手の骨じゃぁね。馬鹿だ、この子。
「でもさ。」と彼女は話題を繋げるように口にする。
「暁里は気付いてないけどさ、あたしも同じこと思ってるよ?」
「望果も?」
「うん!
まぁあたしには元々笑ったりしてくれてたけどさ、
最近の暁里は泣いたり頼ったりもしてくれてるじゃん?
だから、暁里は変わったのかなって思うの。」
「・・・。」
「それってさ、裕哉君のおかげだよね?」
望果はふわり、と花開くように微笑んだ。