もしも、もしも、ね。


―――・・・。

―――・・・・・・。

―――・・・・・・・・・。

―――・・・・・・・・・・・・はい?



「いや、みぃって確かユウのこと好きだったような・・・。」

「そりゃ好きよ!みぃはイケメン大好きだもん。」

「サヨウデスカ。」



この女・・・!!

そう思って“呆れた”という意思を思い切り顔に出してみる。

みぃは私の顔を見て、モデルさんのように綺麗に口角を上げた。

けれどすぐに視線を逸らして、

すこし真剣な顔をして、

しっかりと私の目を見つめる。

思わず私も表情を引き締めた。



「みぃはイケメンが大好き。」

「・・・。」

「けど、裕哉には本気で恋してたよ。」

「―――・・・みぃ。」



みぃは、私よりずっと彼を思い続けていたのに。

私はずるい。

嘘をついて、

傍を陣取って、

けれど勝手に好きになって、

また付き合えたらなんて祈ってる。

でもみぃは、私達が本気で好き合って付き合っていたのだと思っているのだ。

この言葉は、ユウに新しい彼女が出来たという噂より、

ずっと私の心に重くのしかかった。



「でもね、暁里。」

「何?」

「みぃは欲しいと思ったものはすべて手に入れるタイプだから、

ほんとにほんとに本気だったら、暁里からも裕哉を奪ってたよ。」

「みぃ・・・。」

「きっとあたし、頭のどこかで本気じゃないって分かってた。

じゃなかったら、本気だったのに裕哉をあきらめてたことになる。

それは、どの道みぃが自分から逃げ出したことだよね。」



だから、暁里にもこうして話せるんだよ。

そう、言って、みぃはにっこりと笑った。


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