もしも、もしも、ね。
「お前、いい女になったな。―――手放したのが、勿体ねぇわ。」
少し、驚いた。
ううん、すっごい驚いた。
たぶん、露骨に顔に出してたのだろう。
陸斗は「マヌケな顔。」と笑った。
私はその顔を隠すように下を向いて、ただ黙々と設定を変更する。
「別に褒めたって何も出ないわよ?」
「バカ。そんなつもりじゃねーよ。」
陸斗は笑った。
その声と、口調に、きっと近づいていたら頭を撫でられていたのだろうと思ってしまう。
それは浮気とかそういうんじゃなくて、
私の一番ひどくて汚いところを知ってる幼馴染を相手にしてるような安心感だった。
「よし、出来た!」
ちゃんと設定を解除してみせると、陸斗は「出来てんのかー?」と意地悪をするように笑う。
「バカにすんならもっかい着信拒否してやるわよ。」
「―――お前、いい女になったけど図太くなったな。」
「全部陸斗のせいよ。」
「おかげ、だろ?」
「・・・そうかも。」
「認めるのかよ。」
また少し漫才みたいな会話をして、それから陸斗が立ち上がった。
「そろそろ出るか」と呟いて。