もしも、もしも、ね。


「キザなやつ。」



小さく馬鹿にするように呟いたけれど、私の指は勝手にそのメールを保護していた。

陸斗。

私、貴方が大嫌いだった。

心から憎んでいたよ。

でも、貴方がいなければ私の中学校時代に思い出なんてなくて、

貴方と出会わなければ高校だって今のところに来なくて、

貴方と何もなければユウを嫌いになることもない普通の一女の子だった。

貴方と再会しなければユウと喧嘩することもなくって、

貴方のことを忘れていたのなら、私はユウを好きだと気付けなかった。

貴方とこうして話さなければ、きっとこんなにも清清しい気持ちにはならなかっただろう。

ねぇ、陸斗。

私の大好きだった人。

私の人生、貴方が必要だったみたいだよ。

喜びも悲しみも、怒りも苦しみも、



愛、も。



貴方なしでは、知りえないことばかりでした。

陸斗。

陸斗。



―――さようなら。


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