もしも、もしも、ね。


でも、ちょっとお母さんの応援もお父さんのヤキモチも嬉しかったりして。

明日は決戦だ!っていうのに、自然に笑っちゃう私がいた。

さてと。

明日に備えてラッピングしようかなぁー。

私は大きく伸びをして気合を入れると、過去最高の出来栄えのロールケーキを同じく最高のラッピングしようとした。

けれど。

なければならないものがないことに、私ははたと気付く。

―――失念していた。

ケーキを作ることばかりに夢中で、ラッピング道具を買っていなかった。

普段の私なら絶対にありえないミスだ。

本当に、ユウは“私”を乱すんだから。

少しだけ苦笑して、私は台所から顔を出した。



「ちょっと買い物行ってくるね。」

「こんな時間に?」

「うん、ちょっと。」



確か、近所のスーパーの2階に売ってた気がする。

閉店は11時で今は10時半・・・まだまだ間に合う。

私は走って部屋に戻りコートを勢いよく羽織ると、

ポケットに携帯とお財布だけ突っ込んで「行って来ます!」と家を飛び出した。



もう少し、気付くのが早ければよかったのかな?

それとも、お財布が見つからないとか。

何かがずれれば、見なくて済んだのだろうか。



ユウが、女の子と二人きりで歩いている姿を。


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