もしも、もしも、ね。


ベッドに飛び込んで、枕をぎゅっと抱きしめる。

目を閉じると、二人の姿が写真のように鮮明に浮かび上がる。

時間にして数分のことだったのに、私の脳裏に焼きついて離れない。

気付いたときに失恋だなんて。

漫画やドラマの中の話だと思ってた。

気付かないヒロインが悪いって同情すらしなくて、

ただ悲劇のヒロインぶるその女の子を冷たい目で見ていた気がする。

自分のことになってやっと分かった。

苦しいよ。

息できない。

心壊れちゃいそうだよ。

駄目って分かってて、あきらめなきゃいけないって分かってて。

それでも愛しくて。

恋しくて。

彼しか頭に浮かばなくて。

私に陰を作るのは、いつもアナタの面影なの。

悔しいくらい苦しくて、悲しいくらい切なくて。



ねぇ、神様。

この痛みが嘘をつき続けた私への罰ですか―――?


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