もしも、もしも、ね。


『だって・・・なんだよ。』

「だ、だって、びっくりしたんだもん。久しぶりだから。」

『そこまで久しぶりか?変な暁里。』



クスクス笑うユウの声に胸がきゅんとして、

心臓をつかまれたような痺れを覚える。

またじーんと目の奥が熱くなるけど、それを必死に我慢した。



「そ、それで、一体何の電話よ。」



あぁ、私可愛くない!

泣きそうなのを隠そうとしたら、つっけんどんな言い方になってしまった。

案の定ユウは疑うように『何怒ってんだよ。』と聞いてきて、

それに「別に」なんて答えちゃう私はもっともっと可愛くない。

こんなんで私明日素直に告白とか出来るんだろうか。



『まぁ、本題言うけど。』

「んー?」

『明日。』



ドクン、と心臓が大きく音を立てた。

明日・・・というか、分かれる日のことをユウの口から聞くのは初めてのことで、

何を言われるんだろうと身構える。

ドクドクと全身が心臓になってしまったかのように音が煩くて、周りの音なんて聞こえない。

苦しいような泣きたいような気持ちがさらに大きくなって、

呼吸の仕方がわからなくなりそうだった。

それでも私の全神経は小さな機械の向こうにいる思い人。

聞きたい。

聞きたくない。

それでも、時間は止められない。

ユウが続きを言うことも、





―明日、が来てしまうことも―


< 245 / 299 >

この作品をシェア

pagetop