もしも、もしも、ね。


「まずは、最後の日だから寂しくて、告白しなきゃいけないから緊張してて。」

『おう。』

「―――それから、楽しかったんだけど、恵理奈さんが来て・・・」

『嫉妬しつつ、失恋決定でへこんだと。』

「うぐ・・・。―――そ、それで! それで一応逃げたらユウが追いかけてきて。」

『・・・。』

「で、あの、その・・・えーっと。」



次の単語はどうしても恥ずかしくていえない。

私が口ごもると、『あぁ?』と言った陸斗は



『で、キスされて逃げたんだろ?』



なんてさらりと言ってしまうから。

私は思い出して恥ずかしくて「やめてよー!!」と手元にあった枕を壁に投げつけた。

ぼすんっという音が聞こえたんだろう。

陸斗はまた沈黙する。



『要するに、どうして彼女がいるのにキスしたかが納得いかねぇんじゃねぇの?』

「うーん・・・そうなのかなぁ・・・。」



そうはっきり言われるとそれも違う気がする。

けれど、それも一つの要因ではあると思う。

私がそう言うと、陸斗はハッと鼻で笑った。



『やっぱりのろけじゃねぇかよ。』

「なんで!?」

『馬鹿か。

男が女にキスしたいって思うのは、相手を女だって意識して可愛く見えたときだよ。』

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