もしも、もしも、ね。


アンタ言ってて恥ずかしくないの?

そう言いそうになったけど、今は私が相談に乗ってもらってる立場だ。

私はぐっと言葉を飲み込んだ。



「―――男の子って、なんとも思ってない女の子にも出来るもんじゃないの?」

『出来なくはねぇ。』

「ほらぁ!!」

『でも。』



半泣きの私に真剣な陸斗の声が飛び込んでくる。

「ん?」と聞き返すと、



『でも、お前の知ってるそのユウっつー男は、俺と違うんだろ?』

「―――・・・うん。」

『だったら、お前が一番分かってんじゃねぇの?

そいつがなんとも思ってねぇ女にキスできる男かどうか。』



陸斗の言葉に私は押し黙った。

それは、私一人で考えてるときにだって行き着いた疑問だった。

結論は・・・“しない人”。

けれど、それだと矛盾するじゃない。



「だって、それだと、まるで・・・まるで、ユウが・・・」



まるで、ユウが私のことを好きみたいじゃない。

私はそう続けようとしたけれど言葉にならなかった。

陸斗は言葉の先を察してくれたのか「だからー」とイラついたように声を上げる。



『だから言ったろ?可愛く見えたときにも反射でしちまうときがあるって。』

「でも、それでもおかしいよ!」

『自分が可愛くねぇからか?』



―――自分で言うのはいいが、人に言われると腹が立つな。

それでも図星だったから押し黙ると、陸斗は笑った。



『お前反応素直だなー。可愛い可愛い。』

「うるさいなぁ!それ嫌味?陸斗の馬鹿!!」

『なんだよ、人の本音の褒め言葉を。』



私はうーと唸ってうずくまった。

そんな様子が見えたかのように、この嫌味男は『拗ねるなよ』とまた喉で笑う。


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