もしも、もしも、ね。
私の声と誰かの声が被った。
陸斗でもない、恵理奈ちゃんでもない、じゃぁ今の声は・・・竜哉さん?
見えないながらに「竜哉さん?」と言うと、
「弟と付き合うことになったんだ?」と的外れな言葉が返ってきた。
初恋の人、と言った直後に彼氏が出来た報告がなんだか違和感があって、少し戸惑いながら返事をする。
「えと・・・はい。」
「じゃぁ、裕哉と結婚したら、初恋の人と元彼も一気に親戚になるんだね?」
「え゛。」
少し悪戯な笑いを含んだ竜哉さんの声。
私はその言葉に固まった・・・た、確かに。
なんかそれってめっちゃ気まずいような・・・
「兄貴。暁里が俺に取られて悔しいのは分かったから、暁里を困らせるなっつーの。」
私の目を押さえたまま、もう片方の手でユウが私を引き寄せる。
竜哉さんの「へえへえ」とからかうような声が聞こえた。
「じゃ、暁里ちゃん。なんか弟がご立腹だから邪魔者は退散するな?」
「え?別にそんなこと・・・」
「まぁ、今度二人でゆっくりお茶でもしようぜ。」
「兄貴!!」
「あー、怖。」
聞いたこともないくらい感情をあらわにしたユウの声に少しだけ笑いがこみ上げる。
ユウ、お兄さんにはこんな感じなんだ。
そんなことを知れただけで嬉しくなる私は、もう大分ユウ中毒かも。