もしも、もしも、ね。


「・・・・・・フフッ。」

「・・・笑うな。」



その指輪はほんのちょっとだけ大きくて、

指に入るとするりと回ってダイヤが私の手のひら側に回ってしまう。

思わず笑うと、裕哉は拗ねたように私の両頬を両手で抓った。



「もしも子供が出来てお前が丸々太っても、

もしも関節ごつごつのババアになっても、その指輪なら入るだろ?」

「―――そうだね。」



子供が出来たら。

年を取ったら。

そんなこと、考えて買った指輪じゃないはずなのに。

言い訳にさらりと未来を言っちゃうなんて、裕哉が私との永遠の未来を当たり前に思ってくれてるってことでしょう?

ちょっとだけ私幸せかも。

「帰るか。」と握られた手に力を込めながら、

その暖かさを愛しく思いながら、

私は裕哉とこれからの道もずっと一緒にいると、誓った。










もしも、なんて言葉で片付けられない奇跡が今までの私達に存在してる。

もしも、なんて夢を抱く未来が私達には待っている。

どんな過去だってどんな未来だって、

アナタとなら受けとめられるよ。





「ねぇ、裕哉―――もしも、もしも、ね?」










END…and to be continued

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