クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

 意識して仕事に没頭するのは初めてだ。こうでもしないと、隙を突いて柏原さんが出てくる。


「ちょっといいかな」

 企画会議が終わって自席で資料をまとめていた私に、千堂部長が声をかけた。


「企画の件で、言い忘れたことがあった」


 上書き保存して、席を立つ。部長の背中はスーツベストの艶に覆われていて、服装だけで色っぽい。今日は臙脂色がとても良く似合っていて……。


 空室のミーティングルームに通され、向かい合って座る。腕時計をちらりと見やってから改まって私と目を合わせた部長は、いつになく冷静な表情をしていると思った。



「このところ、らしくないですね」

「らしく、ない、とは……」

「貴女らしくないという意味です。依頼した資料は小さなミスがあるし、会議中は上の空、やたら携帯を気にしてみたり……」

 思い当たる節がありすぎて、言い訳すらできない。
 だけど、その理由はどうしても話せなくて、言葉に詰まる。


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