クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

 そのままフロアに戻るものだと思っていたけれど、部長は出たばかりの空室へ私を入れた。


「いま見たことは、誰にも口外しないように」

「……」

「社内恋愛は禁止です。私の方で彼に事実を確かめます。まぁ、話していただけと言うだろうけど、抱き合っていたのを見てしまったからにはね……」


 ――抱き合ってた?

 眼鏡の奥で、化粧っ気のない目を大きく開いた。
 ドキドキと心臓が痛いほどに鳴って、呼吸が小さくなる。
 部長が買ってくれたミルクティーは温かいはずなのに、それすら感じられなくなるほど、指先まで冷えが行きわたってきた。



「……なるほど、そういうことですか」

 突然、冷たい視線を私に向けて、前かがみになった部長が真っ直ぐ見つめてくる。


「し、仕事……頑張ります。企画がいいものになるように精いっぱい……」

 精いっぱい、好きだった。仕事も頑張って、恋もして、このところ幸せが過ぎた。


「瀬織さん、柏原さんに恋をしているんですね」


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