クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

 俯いた顔を勢いよく跳ね上げれば、気づかないうちに溢れていた涙が頬を伝う。


「あ、あの、これは……ちょっと反省したので、仕事に対する姿勢を」

「柏原さんが好き?」

「企画が走り出す前の大詰めなのに、こんなぼんやりしてたんじゃ、また佳乃さんに怒られますね」

「いつから好きになったんですか?」

「今日話しあった商品、早く形にしたいですね。あれは絶対に売れるって思います」

「……瀬織さん」

 問いかけの一切を意識して無視する私に、部長は会話を止めた。


 ぽろぽろ止まらない涙が、ムカつくくらい切ない。
 泣くほど好きだっていうのに、彼はそうじゃなかったんだ。
 それを、あの場所で知るなんて、寝ても覚めても望まないことくらい、彼は分かってくれてたはずなのにな。

 私の“はじめて”を大切にしてくれた彼なら……。


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