クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

 指先が冷えてきて、まぶたを開けた。
 寝入ってしまったと気づいたのは、窓の外の景色がすっかり暗くなっていたから。


「やっば!」

 腕時計を見れば、宴会が始まる10分前。適当に身なりを整え、部屋の戸締りをして向かう。
 灯篭が示すほうへと早歩きをしながら、時間を何度も見て焦る。遅れたらまたしても部長の機嫌を損ないかねない。今朝の集合だって、遅れてくる人を置いていったほどだ。



 柏原さんは無事に着いたかな。
 って、今になっても気にするなんて、私はどこまでも彼に堕ちてしまったのか……。



 温泉に行きたいね、と話していたことをふと思い出した。
 柏原さんと休みを合わせて、平日でもいいから近場の温泉に行こうと約束したのだ。

 そのついでにドライブもして、鎌倉あたりに立ち寄ってもいいし、日程に余裕があれば芦ノ湖方面に行ってもいいよねなんて……。



 叶うことのなかった約束が次々に思い出される。
 仕事に逃げて、考えないようにすれば、忘れられる時間もあったのに。



「旅行なんて、来るんじゃなかった……」

 宴会場の前で、浴衣姿の柏原さんを見つけて足がすくんだ。


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