クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ


「柏原さーんっ」

「びっくりした!2人ともめっちゃ色っぽいんだけど」

 両手に花の彼は、私に気づくわけもない。先に温泉に入ったらしい女子2人が、浴衣姿で彼の腕を取る。


「柏原さんが集合時間に来なかったから、心配してたんですよ?」

「まーた、そうやって俺を喜ばせてどうすんの?」

「一緒に飲みましょ?」

 引っ張られるがままに、宴会場へ入っていった彼の背を追う気にはなれない。


 ああいう人だった。
 入社して彼を知った時からわかっていたというのに。



「……なんで好きになっちゃったんだろう」

 理由を探しても答えは好きだって気持ちしか出てこないのに、自問自答を繰り返す。
 何度も何度も、彼が心の中から消えてくれるまで。


 彼の声も匂いも、ベッドの軋む音も、唇の感触も。

 すべてが浮かんでこなくなるまで。
 




「なにしてるの?……ほら、行くよ」

 突然後ろから引っ張られ、もつれそうになる足で前に進む。
 浴衣姿の千堂部長は、遠慮なしに私を宴会場に連れ込んだ。


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