クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
さーて、と言って、一方的に甘い空気をかき消し、途中だった本を再び読み始めた部長をにらむ。
企画のためだってわかってるけど、それとこれは別っていうか。
何もここまでしなくても、私だって恋愛経験はあるわけで。
想像くらいは、いくらでもできるんだからねっ!!!
「顔面で文句垂れる暇あったら、企画早く上げてこい」
……む、ムカつく。
本当に、会社のあの姿は見せかけなんじゃないかって思うわ。
やりますよ、やりますよ。
夕方に出かけるまでに少しでも進めて、年明けには打ち合わせであっと言わせるような素敵な内容に仕上げてみせますよっ!!!
部長の一切を遮断するために携帯にイヤホンを挿して、プレイリストから気分に合うものを選んで再生すれば、私だけの世界に飛び込める。
テーブルの端に置かれたマグカップに、彼の手が伸びてきた。
視界に入るだけで意識させられるなんて、部長の威力がどれだけだったのかを思い知らされる。