クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
「結衣ちゃんは、どうするの?」
プログラミングの会社を経営していると自己紹介した眼鏡男子・羽野(はの)さんが隣に立った。彼とは結構話も合うし、紳士的で年齢も35歳で大人の男って感じがする。話の途中でわからないことがあっても、すぐに答えてくれる知識の豊富さが心地よかった。
「少しだけなら、行こうかなと思いますけど……」
けど。
どういうわけか、千堂部長がちらつくの。
羽野さんが着ているニットが、ワンピースの袖に触れるたびに。
細長く骨ばった指が、ワイングラスの脚に絡められるたびに。
結局、全員が2次会に行くと決まって、フレンチダイニングバーを出る。
12月下旬、今日はクリスマスイヴ。
街は赤と緑、金と銀、青と白。
世界中が愛を謳い、共にいる人の幸せを願う。
「寒いでしょ、これ使って」
羽野さんがカシミアのマフラーを私の首にかけてくれた。
だけど、私は……。