クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

 今以上を望む自分と向きあったら、禁断の切れ目から好きが溢れだしてくる。


 部長は私のために、私生活を削ってくれた。
 地味で目立たないように、わざとそうしている私に与えてくれたチャンスを、最後まで預けようとしてくれている。


 しばらく他の誰にもときめいていなかったのに、柏原さんに恋をして初恋のように浮かれてしまったから。
 転んで顔面を思い切り擦ったような格好悪い失恋をして、どうしようもない理由で仕事がつまづいてしまっているのに、何歩も先にいる部長は立ち止まってくれた。


 振り返って、戻ってきて、私を奮い立たせてくれた。


 どんな方法でも、私が企画から逃げないようにするために。


 柏原さんとの思い出を昇華できるように。



 こんなに優しくされたら、嫌でも意識する。

 リアリティが伴わない同棲生活でも、知らなかった彼の一面に毎日触れていたら、いつの間にか尊敬が好きに変わっていた。



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