クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
真っ暗で広いリビングに、ぽつんと私だけがいる。
寂しく思うなんて、この部屋に愛着が湧いてしまっているからだろう。
「部長……いま、どこにいるんですか」
思ったままを声に出しながらメッセージに変えて、送信した。
部長はきっと恋愛に慣れているから、私がようやく気づいたこの気持ちなんて、とうにお見通しかもしれない。
だからあんなふうに構ってきたり、冷たくしたり……そうすれば、部長が言っていた“リア充”を手っ取り早く体感できるもの。
昼間、部長が寝転んでいたソファに、同じように横になった。
カーテンの隙間から見える空は、星もない。
高層ビルの照明と、街を彩っているイルミネーションのせいでいつもより少し明るく感じるだけ。
好きと気づいてしまったばかりの気持ちを抱えて、好きな人の部屋で1人。
まるで罰ゲームみたいでツラい。
香りが、生活の雰囲気が、彼の存在が。
形のないモノたちが私を包み込むから、無性に会いたくてたまらないのに。