クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

「……帰るだけです」

「まだ始まって30分も経ってないのに?」

「次の予定があるので」

「お友達は、そう言ってなかったけど」

 言葉を交わすたびに、詰められる距離に息をのむ。
 2人きりの透明の箱が夜景に落ちていく中で、彼はとうとう私を壁に追い詰めた。

 会社で見る彼と、目の前にいる彼が別人のようだとは思わない。もともと軽そうで誠実を感じるほうではなかったし、調子の良さも相まって会話の繰り出しが早いからだ。
 だからというわけじゃないけど、こんな近距離でも、私の鼓動は意味の違う脈を刻む。



 彼の両腕が私を取り囲んだ。逃げ場をさらに奪った彼は、ゆっくりゆっくり私の耳元へと顔を近づけてくる。


「好みの女を見つけたのに、何もさせてもらえないまま帰すつもりないから」



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