クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

 ダイニングテーブルに向かい合って座り、用意した食事に箸を伸ばす。
 私の頭の中じゃ、ランチタイム以降の出来事がダイジェストで何度も繰り返されているのに、部長は何も変わっていないようだ。



「明日は、ランチ別々になりますから」

「なんで?」

 私の申し出に、彼は疑問を返す。

 ――なんで、って。どういう意味ですか。


「企画が大詰めなので、他の業務の進捗を考えたら、タイミングが合わないと思うので」

「そっか。残念」

 ――残念、って。なんでそう思うんですか。


 今まで近いようでものすごく遠かった彼の気持ちが、今日1日の間で一気に目の前まで迫ってきている気がするのに、分厚いレースカーテンで阻まれているみたいだ。
 見えそうで、見えなくて。時々ちらっと向こうから顔を出してきたりして。


「そんなに、私といたいんですか?」

 だから、調子に乗ってみたくもなる。
 今の部長は、なんでも言ってくれそうな気がするから。



「当たり前だろ。放っておきたいなんて思わないよ」


 色違いの箸が私の指を外れて、テーブルの上を転がった。


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