クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

 大好きな匂いがする。
 ドキドキするのに、安心できる温もりに包まれている。

 ――本当は離れたくないって、叫びたくなるほど。



「時々は、遊びに来たらいいよ。休みの日、買い物があったらつき合ってやるし」

「……連れまわしますよ?」

 ははっと笑って、彼は私の背中を撫でる。


「いいよ、楽しいから。お前といるとすごく楽しい」


 お互いにどんな顔をして話しているのかなんて、わからないまま。
 だけど、彼の胸元に耳を寄せた私には、大きく弾けるように鳴る彼の鼓動が聞こえる。


「愛斗さん」

「ん?」

「どうして、私を柏原さんから引き離そうとしたんですか?」

「……気に食わないからだろうな。可愛い部下が騙されて、泣いてるのを放っておけないだろ」

 部下と言われたら、また距離ができた。
 なのに、今、私は彼の腕の中だ。温もりも香りも彼と混ざって、2人きりの秘密の時間にいる。



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