クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

「この生活をしたのは、企画のためって言ったけど」

「……」

 眠りについてしばらくしてから、彼の声でふと目を覚ました。
 私は、相槌を打たずに目を閉じたまま。腕の中で聞く彼の声を覚えていたいと思ったから。


「本当は、俺のためだったのかもしれない」

 彼の身体が、そっと離れていく。
 視線を感じたら、まぶたを開けられなくなった。


「こんな毎日になるなんて思ってなかったから、手放すのが嫌になる」

 ゆっくり呼吸をするたびに、彼の匂いで染められていく。
 幸せな時間は、私だって終わらせたくない。


 手放すのが嫌になるほど彼のためにもなったなら、それでよかったと区切りをつけよう。


 終わりが見えないなら、強引にでも。


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