クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
眩しいエレベーター内の照明に目を細めて、私は思わず顔を背けた。
ようやく到着した箱の中から出てきた警備員に会釈しようと視線を戻せば、柏原さんの前に影がある。
「悪いけど、そこまでにしてくれませんか?」
走ってきたのか、額に少しだけ汗を滲ませて、カシミアの黒いコートの襟を正してから、その影は1歩ずつ近づいてきた。
「今夜は、俺が彼女を送るって約束しているので」
「……そうなの?」
きょとんとした柏原さんの表情と、突然のことに驚く私。
「ちょっと、デスクに寄る」
抵抗する余裕も与えられず、強引に手が引かれるまま、フロアのドアの前まで戻された。
「あの、部長っ……?!」
酔っているから、こんなことをするの?
歓送迎会、まだ終わってないですよね?
沙良さんを置いて、私を探しに来てくれたのだとしたら、どうしたらいいですか?
――こんなことされたら、嬉しくて泣きたいくらい困るって、知ってるんでしょ?