クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ


 振り返ると、悲しそうに笑っている柏原さんが小さく手を振って、エレベーターに乗り込んでいくのが見えた。


「待ってください!」

「ん?」

「柏原さんとちゃんと話さなきゃ」

「アイツは分かってるよ。だからもういい」

「……離して」

「離さない」


 商品企画部に入るなり、部長に思い切り抱きしめられて、胸の奥がぎゅっと狭くなった。



「……頼むから、今は俺といて」



 部長と私は、会社では決して許されない距離にいる。
 誰かに見られたら、一巻の終わりだ。


 状況も彼の言動も、点のまま散らばって、少しも線になろうとしない。

 だけど、忘れられなかった部長の匂いがする。
 いつもつけている香水と、抱きしめられているぬくもりに安堵する自分がいた。


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