クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
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お疲れさまです、が響き合う社内のエレベーター。
25人定員の箱の中は、全員がドアや階数表示を見上げてやり過ごす。
「千堂室長、降りてから少しだけいいですか?」
「もちろん。5分くらいでもいいですか?」
「ありがとうございます」
どこかの部署の社員が、彼に話しかける声が聞こえた。
そっと目をやれば、話し終わった彼が私を見ていて、思わず地味子の仮面で顔を隠す。
俯くと髪が視界を暗くしてくれるから、何かと便利だ。
目が合うだけで、瞬時に焦げ付きそうなほど熱くなる。
今朝の色々を思い出せと言わんばかりの視線には、人前では耐えられない。
途中階で人が減って、彼の時間を予約したもう1人だけが乗り合わせる。
もし、いま2人きりだったら……なんて考えてしまうのは。
間違いなく、愛斗さんのせいだ。