クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
それからというもの、仕事の兼ね合いで彼女がいる商品企画部とはやり取りをすることが多くなって、おそらく部内の誰もがやりたくない雑用を率先してこなす姿をよく見かけるようになった。
下階にある商品企画部の給湯室の掃除だって、ビル清掃に任せっきりじゃない。
使ったら綺麗にしておくという当然のことを、ごく普通にやれる女だった。
「千堂くんに、来期は商品企画部も任せてみようと思っているんだ。それと、永く続くであろう社の未来もいずれは」
営業本部長になって、いくつか季節が廻った春。
社長の娘が同席する場で、さらに未来が開けた。頑張っていれば、きちんと評価をしてくれる社風がいい。世間に蔓延しているブラックな企業とは天と地の差だ。
「そこで、娘の沙良との交際と結婚を視野に入れて、今後も我が社に力を貸してくれないだろうか」
「ええ、喜んで」
使えるものは使ってみないと分からない。だから、二つ返事で了承した。
だけど、綺麗で気立てのいい沙良と知り合って、すぐに特別な仲になったけれど、あまり恋愛感情は抱けなかった。
社内で見かける、瀬織さんが気になってしまうから。
今日も自分で作ってきたと思われる弁当を社員食堂の片隅で広げて、美味しそうにするその横顔が見たいと思うようになったから。