クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

 しつこいくらいにまばたきをして、息を吸って吐いて、ゆっくり目を閉じ、落ち着こうと意識する。



「瀬織さん、あまりゆっくりもしていられないので失礼しますよ」

 手を引かれ、半ば強引に乗せられたシートが身体を受け止めた。
 静かに閉められたドアの向こうが遮断されて、心拍数が加速しようとする。


「僕の隣で申し訳ないけれど」

 眉尻を下げて微笑んだ部長は運転席に乗りこみ、そっとドアを閉めた。



 エレベーターで嗅がされた匂いとは、比べ物にならない素敵な香りが漂う。

 千堂部長のプライベートに踏み込んでしまったような気がして、シートベルトをする横顔を見つめた。


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