クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
打っていた文字を消して、ただシンプルな言葉を選ぶ。
『ごめんなさい』
言い訳しようとすればするほど、面倒が起きそうだと思った。
柏原さんの返事を先延ばしにして、千堂部長の誘いに乗った私がいけなかった。
程なくして、エレベーターの上昇が止まり、ドアが開いた。
「……」
乗り込んできた柏原さんは、携帯を片手に私と目が合ったまま動かない。
気まずすぎる沈黙に冷や汗が出る。バッグを持ち直そうとしたら、部長から渡されたジャムとラスクの詰め合わせの袋がくしゃりと音を立てた。
「千堂部長が友達なわけないよね」
「はい……言えなかっただけなんです。すみません」
「謝らないで。俺がちょっと妬いただけだし」
顔を上げれば、思っていたより何倍も温かな表情の彼がいた。