クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

「好きなの?千堂部長が」

「そういうわけでもなくて……」

 ちょっとドキッとさせられたけど、それとこれとは別だ。千堂部長の麗しさや人柄の良さは毎日感じているし、今日は今までになく距離が近かっただけのこと。
 イコール、恋をしたという結びつきは私の心に生まれていない。


「仲のいい上司と部下?」

「千堂部長は誰にでも平等に優しく丁寧に接してくださるので」

「確かに、あの人は完璧って感じだもんね…………それなら、よかった」

 私と改めて向きあった柏原さんはほっとした息遣いを見せた。



「他の誰かに盗られるくらいなら、心ごとさらうしかないのかなって思ったから――」

 店舗統括部が入っているフロアに到着して、ドアが開く。


「またね、結衣ちゃん」

 降りていく彼の背中に、もどかしさを感じる。そして、見せられた意外な一面が可愛いと思えた。


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