クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

 自分以外の誰かがこの部屋に来たことがあったか思い返す。


「結衣ちゃんの部屋って感じする」

「そうですか?」

「綺麗にしてあって、こだわりのものが置いてあったりして……俺はこういう部屋好きだな」

 バッグを床に置き、背中から抱きしめられて大きく波打つ鼓動を隠す。


「そう言ってもらえて、よかったです」


 あんなに落ちないように警戒して、社内恋愛には不向きだろうから断ろうと決めていたのに、意外とあっさりほだされてしまった。

 柏原さんが、思っていたよりずっと誠実そうだから。隣にいてくれたら、きっと楽な気持ちでいられるって予想ができるから。

 でも、本当に好きかどうかは――


「俺のこと、好き?」

「……」

 答えを声にできなくて、頷いただけの私はズルい。


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