【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫

「……なあ佳代、
俺に、貰われてくれるか?」
その言葉に私がコクリと、小さく頷くと、
いとおしむように優しいキスを拓海が唇に落す。

その唇が笑みの形を浮かべているから、
私も何だかうれしくなって、
小さく笑みを浮かべて、そのキスに応えた。

初めてのキスより、ずっと優しくて、暖かい。
しばらくそうして何度も互いの唇を確かめ合った後、
一瞬唇を離して、鋭い視線を細めて、
私の髪に指先を絡める。

「……それでかまわねぇなら、
もう一生誰にも、この髪一筋もくれてやらねぇからな?」

その言葉がどこか冗談めかしているのに、
真剣な色合いを秘めているから、
私は、ぎゅっと甘く蕩けるように心臓が締め付けられる。

「……一生って……」
思わずそう呟く私に、彼は真剣な瞳でじっと見つめて、
「……一生だ。……それでもいいんだろ?」
私の答えを聞く前に、
今度は打って変わって激しい大人のキスをされる。

一生って、ずっとってことで……。
それって、プロポーズみたいに聞こえるけど、
でも……。

私はそれだけでもう、頭がぐるぐるになって、
呼吸が苦しくて、わけがわからなくなってしまう。
彼の言葉と、甘くて深いキスに翻弄されて、
心臓が甘く鼓動を上げていく、熱が上がっていく。

初めてされた、男の人の本気のキスに、
気づけば力が抜けて行ってしまう。
抜ければ抜けていくほど、
彼の腕が私の体をしっかりと捕えて、
気づけば私は彼にもたれかかるように
抱きしめられていた。

くたりと力を失った私を彼が抱きとめ、
指先が緩やかに髪を撫ぜている。
たまに、額に優しいキスが堕ちてくる。
それがたまらなく幸せで。
私は甘いキスの余韻の酔っていた。

「あ……」
ふと彼の胸に押し当てていた頬が、
彼の鼓動を感じ取る。

それが、私のそれと変わらないくらい、
早くて熱いリズムを刻んでいるから。

「……そうか、拓海も私のことが好きなんだ……」
思わずそう言葉が零れてしまう。
ふっと笑い声が堕ちてきて、
私の髪の毛に鼻をうずめるようにしながら、
彼が笑って囁いた。

「……今頃気づいたのか? おせぇよ……」 
< 179 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop