【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
【オマケ】


家を出ていく拓海が振り向いて、
ほっとしたせいか、緊張感が抜けた顔で
俺の方を向いてにやりと笑う。

「悲しかったり苦しかったりでアイツを泣かせる気はないが、

……幸せだったり、楽しかったり……
まあ、それ以外にもいい意味でなかせるのは許してくれよ」

言っている意味はよくわかんねぇけど、
そう言う顔が今まで見たことないくらい上機嫌で。

「……なんか浮かれてねぇ?」
俺がそう言うと、

くるっと前を向いて。
向こうを向いたまま、

「……ああ、ずっと惚れてた女を
ようやく手に入れたんだ。
……自分でも馬鹿じゃねぇかってほど
浮かれているが、わりぃか?」

……惚気か? 

その『惚れている女』の実の弟相手に何言ってんだよ。
今まで俺よりずっと大人だと思っていた拓海が
無邪気に嬉しそうにしている様子に、呆れてしまう。

本来なら、佳代を泣かすような奴じゃないし、
それなりの事情ってのがあったんだろうとは思う。
多分それを整理して、
ようやくちゃんと佳代に告白できたってとこかなと
勝手に想像して……。

まあいいんだけど、その『惚れた女』てのが、
自分の姉ちゃんかと思うと、なんかいろんな意味でちょっと複雑だ。
はぁっと俺はため息をついて。

「……浮かれたおっさんは、イケてねえからな?
そのニヤケ顔を直してから、佳代んとこ戻れよな?」

そう一言言ってやると、俺もなんだか気分が吹っ切れて、
俺も拓海の上機嫌が移ったみたいで、
ニヤニヤと笑いながら、勢いよくドアを閉めた。



【オマケのオマケに続く】
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