マイノリティーな彼との恋愛法


今回はカウンター席ではなく、テーブル席に案内された。
会社帰りのサラリーマンで店内がひしめく中、私と神宮寺くんは向かい合ってお酒を飲むことになった。


「枝豆と月見つくねと蓮根の素揚げは絶対頼んでね」


メニューを眺めている彼にそう言うと、向こうでは目だけを上げて少し不思議そうな顔をした。


「え?もう決まってるんですか?」

「この間見て食べたいと思ってたやつなの。あとは好きに頼んでいいよ」

「はらこ飯は好きですか?それと、おでんが始まったみたいですけど」

「あぁ、もうどっちも大好物。絶対に大根は入れて」


はいはい、と返事をした神宮寺くんが注文を請け負ってくれた。


前は1杯目はビールだったけれど、今日は最初から飛ばすつもりで日本酒を頼んだ。もちろん彼も同様に。

周りのサラリーマンたちは、すっかり赤ら顔で楽しげだ。


「あなたの事務所の人と、私の後輩がえらくいい感じだって聞いたんだけど」


いただきます、と2人で声を揃えて手も合わせた。
お通しの冷奴醤油麹のせを食べながら彼に話しかけると、神宮寺くんは首をかしげて「ん?」とつぶやいた。


「俺の事務所の人?誰ですか?」

「名前まで聞いてないけど、32歳で事務員でイケメンで、それからえっと〜高身長で面白い人……だったかな?」

「うーん、梶山さんかな」

「その人と、私の後輩の風花ちゃんが連絡取り合ってデートしてるんだって」

「へぇ〜」


私の話に、神宮寺くんは一切食いついてこなかった。
どうやら興味が無いらしい。
「へぇ〜」というのが、「どうでもいい」と変換して聞こえてきそうなほどだった。


こいつは何にだったら身を乗り出して興味を示すんだろう?
そんな姿、想像も出来ないけど。


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