マイノリティーな彼との恋愛法


「風花ちゃんがね、なかなか付き合おうって言ってくれないって悩んでたの。彼の方はどう?仕事中に何か考え込んでたり、悩んでたりしてる様子はない?」


届けられた日本酒の酒器を「乾杯」の音頭も無しに2人でカツンと合わせつつ、一応風花ちゃんのためにと思って探りを入れてみる。
すぐにお酒は私の口まで運ばれていき、グイッと飲み干されて空になった。

その酒器にお酒を注いでくれた神宮寺くんが、先ほどと同じく興味など無さそうに答える。


「分からないです。測量で外出していることが多いので、あまり接点が無いです」

「でも測量が終わったらオフィスでデスクワークしてるんじゃないの?」

「集中してるので他人のことを気にしないんです」


…………そうだ、こいつはこういう奴じゃないの。分かってはいたけど、なんで聞いてしまったんだろう!
イライラするだけじゃん!

会話を広げようとしてはダメよ、特に恋愛に関しては!


いま一度心に確認して気を取り直しているうちに、注文した料理がどんどんテーブルに届けられた。
揚げ物とはらこ飯以外が並んだところで、私は枝豆を食べ始める。

むしゃむしゃ食べていると、その様子をじっと神宮寺くんが見つめてきた。
その視線を気にしないようにしていたら、彼がボソボソとしゃべり出した。


「なんで女の人って、そういうの確認したがるんですかね」

「そういうのって?」

「付き合おうだの、好きだの、愛してるだの」

「まぁ、それなりに口にしてほしいよね。特に付き合う云々のあたりは。曖昧なままだと遊ばれてるのかもって不安になるし」

「…………面倒くさい」


出た!神宮寺渉の常套句!
絶対言うと思った!


これだけ恋愛においてのみ、究極の面倒くさがり屋みたいな発言を繰り返す男の、これまでの恋愛遍歴が突然気になり出した。

だって、こんな人と付き合おうと思う女の子ってどんな物好きなの?と疑問に思うのだ。

愛情表現だって極端に乏しいに違いない。

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