ケダモノ、148円ナリ
「私、モスクワの式場で待ってます。
私と結婚する気になったら、いらっしゃい」
明日実は真冬の残していった言葉の意味を考えながら、朝食を食べていた。
明日実の頭の中では、何故か窓ガラスがひとつもない吹きっさらしの教会の中、ノースリーブのドレスを着て、頭だけもふもふの帽子を被り、ブーツを履いた真冬が寒そうに立っていた。
ロシアの教会ってこんなんだったっけ? と思いながら、
「おにいさま」
と明日実は箸を置く。
「行ってさしあげてください。
真冬さんが凍死してしまいます」
真剣にそう訴えると、
「……お前の頭の中でなにが起こってるんだ」
と横から貴継が言ってくる。
「俺は……」
あまり食べないまま、顕人は俯いていた。
「真冬さん、あんなことを言ってらしたけど、きっとおにいさまのことがお好きなんです。
だって、指輪もしっかりはめてらっしゃいましたし。
ショートカットでしたから」
「ショートカット?」
とさすがに顕人もそこで顔を上げてきた。
「おい、明日実……」
と横から貴継が呆れたように言ってくる。
だが、構わず、明日実は言った。