ケダモノ、148円ナリ
「真冬が俺を好きだったらなんなんだ?
 俺にもあいつを好きになれって言うのかっ。

 そんなこと信じられないし、関係ない。

 あいつはずっと世間的にちょうどいいから、俺と結婚するって言ってたんだぞ。

 だったら、俺が誰を好きでもいいだろうに。
 なんで、俺の気持ちにまでケチをつけてくるんだっ!」

 明日実、お前もだ、と怒鳴られた。

「俺が誰を思ってようと、俺の自由だっ。
 俺が……ずっと明日実を好きで、明日実のことを忘れられないとしても、それも俺の自由なはずだ」

「ま、そこんとこはそうなんだが」
と貴継が腕を組み、口を挟んでくる。

「腹の中で思ってるだけならな」

 態度に出すな、と貴継は言う。

 今度は、そんな貴継を見下ろし、顕人は喧嘩を売り出した。

「なんだ、偉そうに。

 だいたい、お前はなんだ?
 そもそもどっから湧いてきたっ!」

 それは私も訊きたいところだが、今、この状況で言うのは、完全な八つ当たりだな、と思っていた。
< 317 / 375 >

この作品をシェア

pagetop