ケダモノ、148円ナリ
「いや……それがなんだかよくわからなくて」
と明日実は素直な気持ちを口にする。

「どっちかって言うと……、
 まあ……いや、だったかなあ、と思います」

 意外なことだが。

 貴継はすぐに勝ち誇ったように言ってくる。

「そうか。
 やっぱり、俺の方がよかったかっ」

 いや、よかったとか、悪かったとか、そういうあれではないんですが、と思いながら言った。

「なんていうか。
 おにいさまとのキスは、家族間でキスしているような、妙な気持ちでした」

「そりゃあ、兄貴だからな」

 近親相姦だろ、と言われるが。

「そういう血のあれではなくて。

 なんていうんでしょう。

 例えて言うのなら、鏡花さんとキスしたような。

 すごく慣れ親しんだ身内としてしまった薄気味悪さというか」

「まあ、お前にとっては、やっぱり顕人は家族だったんだろ。
 血がつながっていても、いなくても。

 嫌だが、キスさせてみてよかったな」
と言い出す。
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