ケダモノ、148円ナリ
 ど、どうしよう、と思った明日実は、つい、おじさんの視線の先に立ち、足を止めていた。

 おじさんが変な顔をする。

 貴継たちも気づいて振り向いたようだった。

「明日実ちゃん?」

「明日実、なにをやっている」

「い、いえ、別に」

 まさか。
 貴継さんが睨まれるのが嫌で、間に入ってみました、とは言えない。

 迷っておじさんがこちらにやって来た。

 そんな彼に向かい、貴継が、
「波田常務」
と呼びかける。

 ああっ。
 常務だったかっ。

 そりゃ、貴継さんのこと、よく思わないですよねーっ、と思ってしまう。

 こんな若造に一気に頭を飛び越えていかれては。

「君は?
 確か新入社員の」

「はっ、はいっ。
 佐野明日実と申します」
と頭を下げると、ああ、佐野さんとこのお嬢さんね、と軽く言われた。

「君は貴継くん……天野部長とは?」
と問われ、ええっと、と言いよどんでいると貴継が、

「近いうちに結婚する予定です」
と言うと、波田常務は笑う。
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