ケダモノ、148円ナリ
危ないところでした、と思いながら、明日実は貴継より遅れて会社に向かう。
少し離れた小道で降ろしてもらったせいだ。
貴継はもう、一緒に乗っていっても構わない感じだったが。
いやいや。
まだ入社もしていないのに、そんな浮ついたことはよくないです、と思っていた。
入社かあ。
なんだか遠くに感じていた入社式だが、後少しになったな、と思う。
もう随分長く会社に居る気がしてるんだけど。
いろいろありすぎて、とハハ、と笑う。
……それにしても、本当に危ないところだった。
遅刻するから、という言い訳がなければ、あれ以上は貴継を拒めなかった。
そんなことを考えながら、ロビーに入ったときに、気がついた。
大和と話している貴継を離れたところから見ているおじさんが居るのに。
おじさん……。
いや、確か、面接のときに見た役員のひとりだ。
睨むように貴継を見ている。
例の話のせいだろうと気がついた。