ケダモノ、148円ナリ
「まあ、君もよく考えて。
 自重しなさい」
と溜息をついて、波田は行ってしまった。

 貴継はその後ろ姿を見送りながら、
「小さいときはよく遊んでくれてたんだけどな」
と呟いていた。

 彼の目には、また、あの廃墟となった屋敷のかつての幻が見えているような気がしていた。

「はあ、そうですか。
 だから、このくそガキと思っても、切って捨てられずに忠告してくれたりするんでしょうね」

 誰がくそガキだ、と貴継が見下ろしてくる。

 それには構わず、明日実は訊いた。

「貴継さん、子どものときは、どんなだったんですか?
 やはり、お可愛らしかったんですか?」

「俺は写真見たことあるよ」

 日向子さんが見せてくれた、と大和が笑う。

「なんか転んで泣いてる写真だったけど、可愛かったよ」
と言われ、貴継は赤くなる。

 だが、
「……そうだ。
 明日実、今度見せてやろう。

 きっと、顕人がこけたときより、きゅんと来るはずだっ」
と言い出した。

「いえあの、私、別に、こける幼児が好きなわけじゃないんですが……」
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