ケダモノ、148円ナリ
「うるさいっ。
 なんだっ。

 俺は少々刑務所に入ってくるがっ。
 それでこいつを殺せるなら、本望だっ」

「私は本望じゃないですっ。
 っていうか、大体、人を殺して、そんな簡単には出られませんっ」

「莫迦め。
 近親相姦の兄が妹を襲おうとしたんだぞ、婚約者の目の前で。

 正当防衛だろうが~っ」
と顕人の襟元をつかんで揺さぶる。

 なすがままになっている顕人を見ながら、明日実は叫んだ。

「それは私が殺した場合ですっ。
 貴方では過剰防衛ですっ」

「じゃあ、お前が殺せっ」
と貴継は言う。

「嫌ですっ。
 私が刑務所に入るのも、貴継さんが刑務所に入るのも嫌ですっ。

 貴方なんて、今、評判悪いから、誰もかばってなんてくれませんよっ。

 病気の専務を追い出して、自分が後釜にすわろうとしているらしいですねっ」

「一家離散した挙げ句、父親はアシカになり、やっと一生を共にできると思った相手を見つけたと思ったら、その女は、近親相姦の兄に上に乗られてたんだぞっ。

 錯乱くらいしてもいいだろうっ」

 ……そ、それはちょっとそうかも、と思いそうになってしまったが、それでも貴継の腕をつかんだ。
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