柔らかな彼女
-3-

柔らかな朝

「んーっ。」

目を覚まして、思い切り腕をあげて体をのばす。
シーツの感覚やベットの硬さがいつもと違う。
なんとなく、幸せな気分でめを開けるとなじみない景色。
でもベットには、甘い彼女の匂いがする。

ベットから立ち上がり、ドアを開ける。

キッチンカウンターの向こうに微笑む彼女。

「おはよう…。よく眠れた?ご飯できてるから顔洗ってきて座って。」

ダイニングテーブルを指し示す。

「おはよう、さあやが、ベットにいなかったから、最高の目覚めとは言えないな。」

なんか、不思議なくらい昨日初めて来た、彼女の部屋の居心地がいい。
今まで付き合った彼女たちの部屋でもこんな気持ちにならなかった。

彼女はてきぱきと、食卓の用意をしながら

「なんかね、変なの。
たけと、こうなったのは昨日なのに、今、たけがここにいることがすごく自然で
当たり前みたいな空気があって。私、両親を亡くしてから人とあまり近くなるの苦手で、
なるべく深く付き合わないように生きてきたの。でも、たけには始めから苦手がなくて
逆に気になってしょうがなかった。今こうしていても、触れたくてしょうがない。
たけがだきしめてくれると、身体がぴったり合う感じ。変でしょ?」

とほほ笑む。思わずそばに行って抱きしめてキスする。

「俺も、おんなじ気持ちだよ。ここ、っていうかさあやの隣がすごくぴったり
収まるっていう感じ。もう、ずっと離れたくない。すごい好き。」

「ふふっ。きりがないね。せっかく作ったからご飯食べて。」

四人掛けのダイニングセットになぜか、隣合わせで、ぴったりくっついて
朝ごはんを食べた。



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